道具
コテ 左官職人の道具箱を見せてもらうと、実に様々な形や大きさ、そして材質のコテが入っています。道具は目的に合わせて作られ、職人は自分が使いやすいように仕立て直しているものもたくさんあります。
ホ−ムセンタ−を覗いてみますと、下塗り、中塗り、仕上げ、レンガ用、目地用、そして大きさや材質(鉄、ステンレス、木、プラスチック)の違いのコテが売られています。壁を塗る訳では有りませんので、これらの中からとりあえず、鉄製の仕上げコテで20?程のものが一本有れば良いでしょう。購入したらとりあえず、表面を砥石かサンドペ−パ−で磨きます。
榎本新吉さんは、「素人がコテなんか使えっこねえんだよ。でも皆コテ持ちたたがるんだよな-」って言うことになるのですが、一本使ってみて、左官職人の気分を味わうのも楽しいことです。
最近土壁に模した壁を多く見るようになりましたが、よく見るとかなり野趣に富んだ表情に仕上げたものが多いことに気が付きます。昔気質の左官職人は、まず真っ平らな壁を仕上げることから練習が始まったそうです。そんな職人の目からすると、「あんな壁のどこがいいんだ?」っていうことになるんですが、あの壁を塗るのにはコテを上手く使う技術はいらなそうです。ゴムべら、竹べら等を上手く使って表情が豊かな仕上げが出来そうです。ときには素手で塗ってみても面白いものです。というわけで、塗る道具は何でもいいことになります。100円ショップなどを回って、バタ−ナイフ、お好み焼き用金属ヘラ等を使いやすいように工夫してみるのも楽しいものです。
パレット 左官職人はコテ板というパレットに適量の材料を載せ、土を切り返しながら塗っていくわけですが、素人の場合は立っている壁を塗るわけでは有りませんので、30?角位の耐水ベニヤ板でも有れば充分です。パレットを持ち上げるのに便利なように、羽子板状に形を作ると、使いやすくなります。
ちりぼうき 土を塗っている間に、余分なところまで汚してしまいます。その汚れを取るために、職人はシュロ等で作った小さなほうきを使いますが、使い終わった硬めの歯ブラシで代用すると、とても便利です。
バット 土、砂、ワラ等を混ぜ込むのに少し大きめなプラスチックバットが必要です。底が平らなものが使いやすいです。この中で水の量を加減しながら使いやすい固さに良く混ぜ込みます。
バケツと計量カップ 土、砂、ワラ等を別々のバケツにより分けておく必要があります。プラスチックの取っ手と蓋の付いたちょっと頑丈そうなものがおすすめです。土の種類が増えてくると、積み重ねて収納しないと場所をかなりとってしまうからです。配合は各材料を容積比で計量しますので、そのためのカップが必要です。大きさは練り合わせる量によりますが、初めのうちはあまり大きくないものの方が使いいいようです。
洗い専用バケツ 必ず少し大きめのバケツを2個用意します。両方のバケツには水を入れ、一方のバケツは土の付いた道具や手を洗うために使います。もう一方は土が落ちたものをきれいにするために使います。土の付いたものを洗ったバケツの水は絶対に流しなどに流さないでください。一日そのままにしておくと、泥は下にたまり上水がきれいになっています。上水だけをそっと流すようにして、下にたまった泥は再利用が出来ますから、別の容器に取っておくと良いでしょう。
フルイ 主に土の粒子を合わせるのに使います。1?と0.5?位の2種類くらい有ればいいでしょう。フルイをかけるときにはかなり、ちりほこりが出ますから、出来れば蓋と受け皿の付いたフルイがいいのですが、入手しづらいので、必ずマスクをする事を心がけてください。部屋の中ではフルイはしない方が賢明です。
蓋と受け皿が付いた500μの金属製のフルイ