素材

  粘土分の有る土なら基本的に使えます。粘土分の有無の見分け方は、土の固まりを指先に水を付けてこすってみてください。つやつやと光るようでしたら大丈夫です。石なのか土の固まりなのか分からないものまで有りますが、金属類の固いもので叩いてみれば、土はすぐに割れます。勿論陶土等を購入しても良いわけです。

  関東周辺では灰色の砂が多いですが、砂にも色々種類があります。砂の中に土分が混じっていないものを使うようにします。土の色を生かすために、白い珪砂を使うこともあります。珪砂の場合は粒度が分けられていますから、仕上げの感じを考えて選びます。また、海砂を使うことも出来ます。


上段左から、富士砂、桐生砂、朝明砂、沖縄本島海砂、鳥取砂丘砂
下段左から、寒水砂(荒)、寒水(細)、白砂(フリマントルシリカサンド)、珪砂6号、九十九里海砂

スサ  一般にはワラを切って使います。その他和紙、麻縄、糸くずなど繊維質のものを使うこともあります。ワラの土壁に対する効用は正確にはわかっていませんが、繊維質の絡みによって補強材的な働きと、糊の役割をするためだとも言われています。ワラもふるい分けして仕上げの表情に合わせて使い分けます。

ワラを7段階にふるい分けしたものです。一番荒いものはワラを強調した仕上げなどに使います。一番細かい「みじんスサ」と言われるものは、数寄屋建築の聚楽壁などのように非常に繊細な仕上げに使われます。

石灰  石灰岩は有孔虫,サンゴ、二枚貝、巻き貝、石灰藻など、CaCO3の殻や骨格をもつ生物の遺骸が堆積して作られたものです。石灰岩を炉で熱すると、二酸化炭素CO2を出して、酸化カルシウム(生石灰)CaOになります。生石灰に水を加えると、発熱して水酸化カルシウム(消石灰)Ca(OH)2が得られす。
日本では、左官の仕事には消石灰が主に用いられてきましたが、榎本新吉さんは長年の研究の末、生石灰に水を加え弗化させたものを石灰クリ−ム状にして使う方が、耐水性に優れた壁が出来ることを発見しました。
また、石灰クリ−ムと土を混ぜて磨くことにより、現代風大津磨きを2000年初頭に完成されています。


栃木県宮田石灰工業の石灰山                  宮田石灰工業の昔ながらの石灰の製法、石灰岩を炉に投入。

色粉  左官の材料店には色々な色粉が売られていますが、そのほとんどが化学物質で作られています。天然の色粉としては、ベンガラ、松煙、藍等でこれらは染色関係の店で売られています。その他、柿渋、漆、カシュ−等の天然の塗料を使ってみるのも面白い効果があります。

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