メンテナンス(保守管理)が大変という問題

宮大工(神社仏閣等の建築工事に係わってきた大工を言う、西岡大工は薬師寺再建の大工として有名な人)の西岡常一さんは「千年で育った木は、切られた後も千年生き続けてる」と言ってます。自然素材という物は基本的に「生き物」なのです。だから優しくいたわりながら使い続けなければならないのです。それが大変だから樹脂製品に置き換えてしまったとも言えます。「メンテナンス・フリ−」これは維持するのに手間暇かからない、理想的な物として捉えられがちです。確かに機械製品のように物によってはそれが理想である場合もあります。しかし住まいを100年生かし続けていくとき、100年もの間メンテナンス・フリ−と言うことはあり得ません。人間と同じように日々の健康管理が長生きの秘訣であることは住まいも同じです。
自然素材の大きな特徴は、古びた物はそれなりの味を醸し出すと言うことでしょう。何百年も前に建てられた、神社・仏閣、民家にその美しさを見ることが出来ます。

落としても壊れない茶碗として樹脂製品の物が作られました。でも物は粗雑に扱えば壊れるという心を無くしたのではないでしょうか。落とさないように気を付けると言うことが注意力であり、割れてしまったと言うことが反省に繋がるのだと思います。その反省が割れない物を造ると言うことではないと思います。

限りある自然素材は人間のためだけにある物では有りません。地球環境から一時借用し時が経ったら、環境を破壊しない形で返す事が人間だけに与えられた智恵なのではないでしようか。
保守管理とは、人間だけが出来うる自然界に対する働きかけです。これを放棄したとき私たちの地球環境は自らが滅ぼしていくことに他なりません。

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