炉壇師って? 

榎本さんの名刺には、炉壇師という肩書きが付いています。
左官職人の榎本さんを訪ねてきた人が貰ってとまどうのがこの名刺です。茶道のことに詳しくないと、いったいどんな仕事なのか分からないと思います。
お茶室では、冬と春には畳下に切り込んだ「炉」に釜をかけてお湯を沸かします。畳面と同じ高さになるように炉縁を入れ、その内部を京都の稲荷山に微塵スサを入れた土塗りとした炭櫃(すびつ)を正式な炉壇とし、鉄製、銅製、陶製、石炉などがあります。この土塗り部分は、毎年一回炉開きのときには塗り替えることになっています。この塗り替えをする職人を炉壇師といいます。榎本さんは、この仕事が出来る日本でも数少ない左官職人です。この仕事は1?以下の精度を要求される、非常に神経を使う仕事です。
秋口に榎本さんの仕事場に行くと、塗り替えを頼まれた数多くの炉壇が積まれています。
ちなみに、夏、秋に火を入れて釜をかけておく炉を「風炉」といいます。榎本さんは、かんぴょうの皮を使って、遠州流の「風炉」も作っています。

珍しい欠炉

特に大きな釜を使う場合に用いる炉です。2000年12月に納めるこの欠炉が仕事場に有りましたので、頼んで撮影させて貰いました。


炉縁を載せたところ                            炉縁をはずしたところ


炉壇の内部の詳細

この写真は、塗り直す以前の状態です。この曲面を出すのには大変苦労されたそうです。昔は椿の葉を使ってこの曲面を出したそうですが、榎本さんは久住章さんのアイデアを借りてゴムべらで作られるそうです。

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