材料作り
土
土は、購入先によって状態が違います。約500ミクロン以下にふるって袋詰めされているものも有れば、ごろごろとした固まりの状態で送られてくるものもあります。
購入する場合は、状態を確かめた方がいいでしょう。500ミクロン以下の状態で有れば、そのまま使うことも出来ますが、固まりですと使える状態にするまでにかなりの手間暇がかかります。
ここでは、福島県飯舘村から採取してきた土をふるい分けして使える状態にするまでの過程を紹介します。
採取してきた土をフルイが出来るように天日で乾燥させる。その後金槌のようなもので細かく砕いて、以下のようなフルイを使って粒子をそろえる。1?以上の土はフルイに残したまま、水洗いすることにより砂分が残る。
5段階にフルイ分けされた福島県飯舘村の土
通常左官で壁を塗る場合には、 荒壁、中塗り、仕上げの各段階で土の粒子を細かくして行くわけですが、1?から7?位が主に使われます。
ここで見るような細かいフルイ分けは、土を工芸や絵画的な所で使うためにやっています。
特に、榎本さんが開発された現代大津とも言われる、「磨き」には106ミクロン以下の細かい土を用いると効果が出ます。
このフルイ分けによらないで、水中に土を入れ重い砂が下に最も軽い粘土が上にと分離する、水ヒ法というやり方で分ける方法もあります。ペットポトルなどを使うと、分離状態が分かりやすく、水と土の境の所で切れば簡単に粒子の細かい粘土分を得ることが出来ます。
砂
採取した土から取れる砂を用いるのが、一番色味としてはいいのですが、上の写真に見るように決して砂は多くありません。材料の所で見ましたように、砂にも色に種類がありますから、土との組み合わせで結果の色味が変わってきます。無難なのは珪砂のように白い砂です。なお、砂を虫メガネで観察しますと、粒子の角が丸いものと角張っているものがあります。鏝でこすってみるとすぐ分かるのですが、角張っている砂を使うと鏝を使ったとき、引っかかってきます。
砂には、土分が混ざっているものも有りますから、その場合は水洗いをして土分を取らなくてはなりません。
生石灰
焼成した石灰岩を入手するのは、メ−カ−から直接買い入れる方法しか有りませんが、入手出来たならば金属製のバケツに石灰岩を入れ水を加えます。暫くするとブクブクと泡が出てきて、フッ化が始まります。ホイルに包んだサツマイモが焼き芋になるくらいの高温が持続して、高熱の液体が吹き飛びますから、十分な注意が必要です。固まりが全て解けクリ−ム状になったら終わりです。冷めるのを待って1?目くらいのフルイで裏ごしをするように粒子をそろえます。目が細かいほど良いクリ−ムになります。
裏ごしをした石灰は、密閉できる容器に移し固まるのを防ぐためにビニルで表面を覆うようにして保存してください。
なお、石灰クリ−ムは田中石灰工業のタナクリ−ムという名で商品化されています。